「精神保健福祉士の資格を取るには大学に行かないとダメ?」
「高卒や社会人でも取れる?」
「一般養成施設と短期養成施設ってどう違うの?」
「実務経験ってどのくらい必要?」
精神保健福祉士の受験資格は、背景や経歴によって複数のパターンが存在し、非常に複雑に見えるかもしれません。
私も精神保健福祉士の資格取得を考え始めたときは、どのルートが当てはまるのか色々調べたことがあります。
この記事では、精神保健福祉士の受験資格を得るためののルートを整理し、特に社会人や既に看護師・作業療法士・社会福祉士などの国家資格を持っている方、高卒の方にも向けて、どのようなルートで資格取得が目指せるのかを詳しく解説します。
1.精神保健福祉士の受験資格とは?主要な3つのルートを解説
精神保健福祉士の受験資格を得るためには、大学や養成施設で「指定された科目を履修する」ことが必要です。
そのためのルートは大きく3つに分けることができます。
① 大学(福祉系)を卒業して受験資格を得る
- 福祉系大学の「精神保健福祉士養成課程」を修了(4年)
- 福祉系短大の場合は、1~2年の実務経験(修業年限による)が必要
- おすすめ対象:高校卒業後、最短で資格取得を目指す方
② 一般大学卒業後に一般養成施設に通う
- 一般大学(文系・理系問わず)・短大卒業の方が対象
- 一般養成施設で所定の科目を履修することで受験資格を得る
- 一般短大の場合は、1~2年の実務経験(修業年限による)が必要
- 一般養成施設には、通学、夜間、通信があり、働きながらでも学ぶことができる
▶ おすすめ対象:大学や短大卒業後、福祉分野に転職を考えている方
③ 指定科目の一部(基礎科目)を履修しているので短期養成施設に通う
- 福祉系大学で基礎科目に相当する単位を履修している方が対象
- 短期養成施設で所定の科目を履修することで受験資格を得る
- 短大の場合は、1~2年の実務経験(修業年限による)が必要
- 短期養成施設も、通学、夜間、通信があり、働きながらでも学ぶことができる
▶ おすすめ対象:社会福祉士の資格取得をしている方、精神保健福祉士養成課程以外の福祉系大学、短大で福祉の基礎的な部分は勉強している方
2.実務経験が必要なルートと、実務経験が不要なルート
よくある誤解が「精神保健福祉士の受験資格を得るには実務経験が必須」というものですが、すべてのルートで必要なわけではありません。
以下の表で整理してみましょう。
ルート | 実務経験の必要性 | 備考 |
---|---|---|
福祉系大学で指定科目を履修 | 不要 | 卒業と同時に受験資格を得られる |
福祉系短大で指定科目を履修 | 必要 | 短大卒業後に実務経験が必要 2年制短大で2年 3年制短大で1年 |
一般大学+一般養成施設 | 不要 | 大学卒業後に1年~2年程度の履修が必要 |
一般短大+一般養成施設 | 必要 | 短大卒業後に実務経験が必要 2年制短大で2年 3年制短大で1年 |
実務経験+一般養成施設 | 必要 | 実務経験4年が必要 |
福祉系大学で基礎科目履修+短期養成施設 | 不要 | 大学卒業後に6か月~9か月程度の履修が必要 |
福祉系短期大学で基礎科目履修+短期養成施設 | 必要 | 短大卒業後に実務経験が必要 2年制短大で2年 3年制短大で1年 |
社会福祉士資格登録者 | 不要 |
上記の通り、福祉系短大で指定科目または基礎科目を履修している場合に実務経験が必要となります。
また、大学や短大を卒業していない場合でも一般養成施設で受験資格の取得は可能ですが、その場合は4年の実務経験が必要となります。
私が精神保健福祉士の資格取得を考え始めたときは、1年ほど精神科で医療事務をしていましたが、精神科で働いていても医療事務は実務経験にはならないため、実務経験不要なルート(一般大学卒業+一般焼成課程)で受験資格を取得しました。
精神科で働いていたり、精神障がいのある方と接する仕事をしていても、相談、助言、指導等を伴う所定の業務に従事していないと実務経験にはならないので、注意しましょう。
3.看護師・作業療法士・社会福祉士・高卒者の場合はどうする?
精神保健福祉士と関連の深い医療や福祉系の資格を持つ方は、が用意されている場合があります。
● 看護師・作業療法士・介護福祉士の場合
- 国家資格としての専門性が高いため、履修科目の一部や実習が免除になる場合もあります。
● 社会福祉士の場合
- 短期養成施設での履修が可能なので、半年から1年程度で受験資格の取得が可能です。
- 社会福祉士国家試験と一部科目が重なるため、精神保健福祉士受験の際は、受験申込時の申請により、一部試験科目の免除があります。
▶ 精神保健福祉士と社会福祉士のダブルライセンスを目指す方も多く、福祉業界でのキャリアアップに有利です。
● 高卒者の場合
- 単独では受験資格を得ることはできません。
- 4年以上の実務経験を積んだ上で一般養成施設で学ぶか、福祉系大学で指定科目を履修する必要があります。
まとめ
精神保健福祉士の受験資格にはさまざまな取得ルートがあり、実務経験が必須のルートもあれば、不要なルートもあります。
精神保健福祉士養成課程専攻の福祉系大学生には「ストレートルート」、社会人や福祉・医療職で働いている方には「実務経験+一般養成施設」のルート、大学卒業者には「一般大学卒+一般養成施設」のルート、それぞれの状況に応じた選択が可能です。
また、看護師や作業療法士、社会福祉士などの医療や福祉系の国家資格をすでに持っている場合は、履修科目が一部や実習が免除されたりする場合があるので、上手く利用すれば学習の負担を軽減することができます。
ご自身の経歴や働き方に合ったルートを選び、「こころの支援のプロフェッショナル」への一歩を踏み出しましょう。
コメント