精神保健福祉士の資格取得を目指すうえで避けて通れないのが「ソーシャルワーク実習」です。
でも、いざ実習といっても「どこに行くの?」「何日あるの?」「記録ってどう書くの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、実習先の種類や日数・時間、記録の書き方など、精神保健福祉士の実習に関する気になるポイントをわかりやすく解説します。
1.精神保健福祉士の実習先ってどんなところ?
実習先となる施設は、厚生労働省の指定する施設で、精神障害のある方を対象とした支援を行っている施設です。
現在、受験資格を得るためには、医療分野と地域分野の2種類の実習先で実習を行うことが必要です。
医療分野の実習先としては、精神科診療所、精神科病院などの医療機関になります。
入院患者の相談業務や、退院支援、外来患者の受診相談やインテーク面接を行います。
病棟や外来業務の他にも、デイケアでプログラムに参加したりカンファレンスに参加したりすることもあります。
地域分野の実習先としては、地域活動支援センターや共同生活支援施設、自立支援施設、生活介護施設、就労継続支援事業所、就労継続支援事業所、障害者就労・生活支援センターなどの地域にある精神障害者を対象にした施設になります。
就労支援や、生活相談、日中活動のプログラムに参加したりすることを通して、精神障害者の社会復帰に関する相談援助の実際を学びます。
それぞれの患者や利用者のニーズに応じてどのように対応していけばいいのか、またどのような支援をしていけばいいのか、多職種連携の中で精神保健福祉士はどのような役割を果たしているのか、ということが実際の事例を通して具体的に学ぶことができます。
実習先は、各養成施設と連携している指定施設の中から割り当てられることが一般的です。
養成施設と実習先にもよりますが、実習中は一定期間集中して実習先に通うことになります。
働きながらの場合は休暇を取って行くことになり、仕事の調整や休暇申請が必要になります。
繁忙期を避け、なるべく職場への負担を減らすためにも、実習期間はいつからいつまでか、またできるだけ通勤の負担を減らすためにも自宅から通える範囲に実習先があるかどうか、早めに確認しておきましょう。
また、実習先を決める際にはある程度希望することはできますが、希望者が多い場合は人数の調整が必要になることもあり、希望通りに行かない可能性もあります。
そのため、万が一希望が通らなかった場合のことも考えて、実習先には複数の候補を考えておきましょう。
2.実習の時間・日数・内容は?
● 実習日数と時間の基本
実習の期間は、医療分野で90時間以上(おおむね12日間以上)、地域分野で120時間以上(おおむね16日間以上)、合計210時間以上(おおむね28日間以上)の期間が必要です。
社会福祉士の資格登録をしている場合は、一部実習免除となり、地域分野で120時間以上(16日間以上)の実習が、60時間以上(おおむね8日以上)に短縮されます。(医療分野での実習は必須です)
● 実習内容の一例
私は家の近くにある精神科病院のデイケアで実習を行いました。
月曜日から土曜日までの9時から17時までで、時間外勤務はありませんでした。
朝はデイケアの職員ミーティングから始まりその日の予定を確認したり連絡事項の伝達があります。施設によっては、初日にこの時に実習生として紹介してもらえるので自己紹介します。
ミーティングの後は、メンバーたちとともに朝のラジオ体操をし、午前中のプログラムが始まります。この時にどのプログラムに入るか、どのメンバーを担当するか、実習担当者から指示があります。
担当するプログラムやメンバーの様子を見ながら、必要に応じて声をかけたり、作業の手助けをします。
各メンバーのペースに合わせて作業ができるように、干渉し過ぎず適度な距離感を保つことが大切です。
こうした関わりや見守りを通して、メンバーの病状や特性を把握し、ニーズに応じた関わり方を学びます。
昼休みの後は、午後のプログラムが始まります。デイケア棟内だけでなく、散歩や社会見学にも同行しました。
プログラムの合間や終了後は、メンバーと交流して病状や生活状況について話を聞かせてもらったりしていました。
また、別の日には、病棟を見学し病棟スタッフから退院支援や地域移行支援の実際についての話を聞かせてもらいました。
さらに、院内には、退院患者の一時入所施設もあったので施設見学にも行き、担当者から話を聞かせてもらいました。
実習は夕方には終わるので、帰宅してから実習記録を書き上げ、翌日提出しました。
最初は緊張しましたが、徐々に慣れてきてメンバーとも打ち解けることができました。打ち解けてくると、メンバーの方も色々話してくれるので、徐々に信頼関係を築くことができるようになりました。
● 実習中の服装と注意点
実習中は動き回ることが多いので、清潔感がありなおかつ動きやすい服装で参加しましょう。
Tシャツ(またはポロシャツ)+パンツ+スニーカー(またはウォーキングシューズ)がお勧めです。
また、プログラムによっては、畑で作業をしたり、絵を描いたり、粘土を使ったりのような活動をする場合があるので、汚れてもいい服装にしましょう。
施設によっては、ユニフォームやエプロン、名札の着用を指定されることもあるので、事前の説明会や連絡事項で確認しておきましょう。
また、実習の内容によっては、スリッパ、上履き、タオルなど、必要な持ち物がある場合があるので、事前に確認して忘れずに持参するようにしましょう。
名札は着用を指定されなくても、どこの学校の何という実習生なのか、メンバーや患者、他部署のスタッフからよく聞かれることがあるので、学校名と名前を記載したものを事前に準備して着用するのがお勧めです。
私も学校名と名前を記載して、首から提げるタイプの名札を着用していました。
学校や名前を聞かれた時も、名札を見せながら自己紹介することができるので、メンバーにも名前を憶えてもらいやすく信頼関係も築きやすくなると思いました。
3.記録やレポートはどう書く?
● 実習記録の書き方のコツ
実習期間中は、毎日「実習日誌」や「記録」を提出することが求められます。実習が終わって帰宅したら速やかにその日の記録を書き上げ、翌日には提出するようにしましょう。
私の場合は、養成施設の指定の様式があり、A4の用紙1枚にまとめたものを毎日提出していました。
記録の内容としては、
- その日の実習内容・気づき
- メンバーとの関わりの様子や精神保健福祉士としての観点からの考察
- 印象に残ったことや精神保健福祉士としての観点からの考察
- 自分の課題や今後の目標
などを記載しました。
記録を書く上では、客観的な視点と自分なりの考察をバランスよく書くことが大切です。
記録を書くことは、精神保健福祉士として仕事をする上でも大切な作業です。様々な仕事に追われているうちにどのようなやり取りをしたのか忘れないように、今のうちに速やかに書き上げる習慣をつけておきましょう。
特に実習中は、記録の提出が遅れると評価が下がる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
精神保健福祉士の実習は、これまで学んできた知識を、実際の対象者の事例を通して活かしていくための貴重な機会です。
初めての実習に不安もあるかもしれませんが、必要なことは事前に確認し、丁寧に準備すれば安心して臨めます。
この記事を参考に、実習のイメージをしっかり持って下されば幸いです。
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