「精神保健福祉士の養成課程に入ろうと思っているけれど、実習って必ず必要なの?」
「どんな場合だと実習が免除されるの?」
そんな疑問を持っている方に向けて、精神保健福祉士の養成施設で実習が免除される条件や実務経験の年数などについて詳しく解説します。
多少の実務経験はある方や、看護師や社会福祉士など医療や福祉系の国家資格を持っている方、働きながら資格取得を目指す方にも参考になる内容です。
1.精神保健福祉士の実習時間は?どんなところでするのか?
精神保健福祉士の養成課程では、精神障害者の支援に関する実践的な知識と技術を習得するために「ソーシャルワーク実習」が必修となっています。
実習先の施設は、厚生労働省の指定する施設で、精神科病院等の医療機関と障害福祉サービス事業を行う施設等の異なる2つの施設で行います。
実習時間は、精神科病院等の医療機関で12日間(90時間以上)、障害福祉サービス事業を行う施設等で16日間(120時間以上)となっており、合わせて28日間(210時間以上)が必要です。
実習期間はおよそ1か月に及ぶため、その間仕事を休んで行くことになります。休暇取得のための職場の理解や、仕事の調整、休暇中に仕事を代わってくれる同僚への気遣いなど、気兼ねなく実習に集中できるように事前に準備を整えておくことが大切です。
私も働きながら資格取得をしたので、実習期間中は仕事を休むことになりました。当時(平成22年)は現在よりも実習期間(12日間)が少なかったですが、2週間連続して休むことになるため、かなり早くから職場に伝えて理解を得るようにしました。
資格取得やキャリアアップに対する向上心は、仕事の上でも評価されることが多いので、養成施設に入学した段階で上司や同僚に伝えておくと、その後のスクーリングや実習で休暇を申請する際も理解を得やすく、応援してもらいやすいと思います。
日々の学習を継続していくためには周囲の理解や環境も大切な要因になりますので、応援してもらいやすい環境を作っていくようにしましょう。
2.実習免除の要件とは?社会福祉士は免除可能?
実習免除が認められるには、厚生労働省の指定する施設で相談援助業務等に1年以上従事するという一定の要件を満たす必要があります。
また、すでに社会福祉士の資格登録をしている方も、実習の一部が免除になる場合があります。
社会福祉士の方の場合は、受験資格取得時に「ソーシャルワーク実習」(改正前の名称では、「相談援助実習」「社会福祉援助技術現場実習」)を履修していると、実習が一部免除になる場合があります。
免除になる場合は、実習時間の210時間(28日間)のうち60時間(8日間)が免除になります。
実習免除を希望する場合には、各養成施設の指定する「実務経験申請書」と「実務経験証明書」を、入学の出願時に提出する必要があります。
「実務経験証明書」は相談援助業務をしていた(または現在している)事業所に記載してもらう必要があります。出願までに間に合うよう、所属長等に早めに依頼をしておきましょう。
3.実習免除の対象となる業務の範囲は?
実習免除になるには、下記の通り相談援助業務の内容も定められています。
下記の①~⑤に該当する業務に、年間を通じた業務時間の概ね5割以上従事する必要があり、該当するかどうか確認しておく必要があります。
①精神障害者の相談
精神障害のある方に対して、病状や生活、社会復帰に関しての相談や情報提供を行うこと。
②精神障害者に対する助言・指導
精神障害のある方に対して、病状や生活、社会復帰に関して本人のニーズに合った提案や指導を行うこと。
③精神障害者に対する日常生活への適応のための必要な訓練
社会復帰を目指す精神障碍害者に対して、規則正しい生活習慣を身に着け、生活に必要な技能を習得できるように訓練を行う。
④精神障害者に対するその他の援助
精神障害のある方が自分でするには難しい手続き(精神障害者保健福祉手帳の取得や障害年金の請求等)を支援したり、社会復帰を目指す精神障害者の受け入れをスムーズに進めるために、家族や会社等に理解を求めるなど相談業務以外の支援。
⑤援助を行なうための関係者との連絡、調整等
ケースカンファレンスへの出席、ケース記録等の関係書類の整理、他機関との連絡、調整業務。
実務経験として認められる期間は、常勤(当該施設の常勤者のおおむね4分の3以上)で通算1年以上従事した期間が必要となります。
また、指定施設であっても、病棟における食事の介助や入浴の介助等の看護業務は、実務経験としては認められないので、特に精神科で看護助手をしている方は注意が必要です。
児童相談所や児童養護施設等の児童を対象とした施設では、精神障害がある障害児への相談援助業務だけではなく、保護者が精神障害者の場合は、その保護者に対する相談援助業務も実務経験の対象となります。
ただし、乳児院では、乳児に対する相談援助業務は実務経験の対象とはなりません。保護者が精神障害者の場合は、その保護者への相談援助業務は実務経験の対象となります。
まとめ
精神保健福祉士の資格取得を目指す上で、実習が免除になるとより学習時間の短縮を図ることができ、学習の負担を軽減することができます。
その分、空いた時間で早期に国家試験対策に取り組むことができ大きなアドバンテージになります。
また、働きながら資格取得を目指す場合は、実習のために長期間仕事を休む必要がなくなり、仕事との両立もしやすくなります。
社会福祉士の資格登録をしている方や、指定施設で1年以上の相談援助業務の経験がある方は、実習免除の要件を満たす場合があるため、実習免除制度を積極的に利用することをお勧めします。
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